NOON裁判、第六回公判傍聴レポート BY 若本洋平

NOON裁判、第六回公判傍聴レポート BY 若本洋平


第6回公判傍聴記
2013年12月4日(水)

今日の第6回公判は、弁護側が証人として申請した学者の先生方3名の証人尋問でした。
これまでは摘発当日のお客さんや従業員、摘発を行った警察官など、主に現場やそれをめぐる事実に関わる内容の証人尋問でした。
今回は、そうではなく、この訴訟での理論面、いわば弁護団の無罪主張の根幹を裁判所に伝えるための証人尋問となります。
事案にもよりますが、そもそも学者の先生方を3名も証人として尋問することを裁判所が認め、しかもそれぞれの意見書も証拠採用されることは、あまりないとのことです。この問題に対して、裁判所がきちんと判断しようと向き合ってくれていることの表れのように思います。

証人として証言してくださった先生方は、次の通りです。
永井良和先生(関西大学社会学部教授、社会学)
高山佳奈子先生(京都大学大学院法学研究科教授、刑法)
新井誠先生(広島大学大学院法務研究科教授、憲法)

まずは、永井良和先生。
永井先生は、風営法について研究してこられた第一人者であり、ダンス営業規制についての歴史的経過、現在においてダンス営業規制を取り締まり、処罰することの妥当性などについて証言いただきました。

永井先生によれば、そもそも明治期は、公衆の面前で男女が一緒に並んで歩くことも忌避されていた時代。ましてや公衆の面前で男女が手を取り合って社交ダンスを踊ることは日本の伝統的道徳にはそぐわないと評価されたことが、ダンス規制の源泉とのこと。
その後、大正期に入って取締りが検討され始め、昭和初期に取り締まり法令が地方で具体化され、ダンスを教える先生の職業への取り締まりなどが開始されたようです。
そして、戦後、いわゆる女性ダンサーを常駐させてダンスの相手をさせるダンスホール営業などが隆盛するなかで、売買春の温床になるということでダンス営業を規制する風営法が成立したとのことでした。

当時の国会議事録などからしても、風営法の目的は、売買春と賭博が行われるような場を規制するということだったようで、その後も売買春と賭博を問題にすることは繰り返し確認されてきたとのことでした。

そして時代を経るにつれて、必ずしも男女がペアにならないダンスが流行っていくにつれて、制定当時に存在していたダンスホールなどは衰退し、現在ではほとんど消滅していることや、クラブを含む新たなダンスの場で売買春や賭博のおそれがないことから、ダンス営業規制が時代遅れであることを指摘いただきました。

また青少年保護という風営法の目的については、あくまで後付にすぎず、ダンスと青少年保護との間には因果関係がないこと、場所を限定せずに犯罪が行われるのに未だに古い法律で場所を規制することの言い訳に過ぎないこと、青少年保護を理由にダンスの場を規制するのは行き過ぎであることなども、証言いただきました。

専門家の立場から、きちんと歴史的経過を踏まえて説明をいただき、ダンス営業を規制するこの法律がいかに時代遅れなのかということが明らかになったと思いました。

次は、高山佳奈子先生。
高山先生の研究分野は、刑法総論基礎理論、国際刑事法、比較刑事法などということです。

高山先生は、まず、本件で問題となっている、風営法2条1項3号のダンス営業規制について、ダンス営業規制について刑事罰を科すこの法律は、現在は効力を失っており、無効であると明言されました。
その理由は、法律は国会での立法が存在しているだけではなく、憲法適合性、処罰のための実質的理由が必要であるところ、ダンス営業規制は歴史的には売春防止という規制目的であって、売春防止法が直接的網羅的に規制していることから風営法は歴史的役割を終え、憲法適合性も処罰の実質的理由も失っているからとのことでした。

また、仮に法律が有効であった場合、クラブのような営業を規制するのは妥当かどうかについて、風営法のダンスが売春に至る危険のある男女が身体を密着させて踊るペアダンスを対象としており、クラブでのダンスはこれに当たらないので、法律が作られた時の規制目的からしても規制対象にならない、と証言いただきました。

その後は、その判断に至る経過を、刑罰法規には、明確性が求められること、刑罰法規は最終手段であるという謙抑性(けんよくせい)が求められること、合憲限定解釈が可能かどうかという点から検討された結果、上記のような結論に至ったとのことです。

ダンス営業には、騒音や振動の発生、暴行傷害事案が多い、薬物蔓延防止や青少年保護から、規制が必要ではないかとの問いには、それぞれダンスとは関係ないことばかりであり、ダンス営業規制以外の規制法規が存在しているのだからそれで取り締まるべきということも証言いただきました。

刑罰法規を伴うダンス営業規制について、刑法学の観点から、それが無効な法規であることを明快にご指摘いただいたと思います。

最後は、新井誠先生。
新井先生の研究分野は、国会議員の免責特権やテロ対策などの安全政策と人権の関係とのことでしたが、さらにこの風営法については、文部科学省の科研費に基づく研究分担者として研究をされているとのこと。

新井先生は、ダンス営業を許可制とするダンス営業規制が、表現の自由、職業選択(営業)の自由を侵害し、適正手続に反して、違憲であり無効であると証言されました。

職業選択の自由との関係では、ダンス営業規制の背景には、ペアダンスが男女の出会いの場で、それ自体が売春等の温床になっていると推測されたことがあるとして、テニスコートで売春が行われるならテニスコートを規制するという意味において、売春の温床の場とされたダンスさせる場を規制されたことがあると指摘。
しかし、現在は社会状況としてダンスさせる場が売春温床の場と一般的に認められる状況にはなく、立法事実を失っているとの証言をされました。

■NOON裁判、今後の日程
10月1日(火)午前10時〜午後5時(見込み)…初公判(人定質問・起訴状朗読・被告人意見陳述・冒頭陳述)
10月30日(木)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(お客様)
11月1日(木)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(NOON従業員)
11月11日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発担当警察官など)
11月13日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発を指揮した警察官 など)
12月4日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(学者3人) 以上は終了。
12月16日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…被告人質問(金光さん)
1月9日(木)午後1時10分〜5時(見込み)(論告弁論期日)
3月ごろ 判決言い渡し

場所:いずれも大阪地方裁判所704号法廷(変更される場合もあります)

※NOONのスタッフや金光さんに面識が無くても良いと思います。途中退出、途中入場もOK。風営法の事、DJの事、クラブの未来を考えたい人は、是非傍聴席へ!

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若本洋平
https://www.facebook.com/yohey.wakamoto
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