NOON裁判、第五回公判傍聴レポート by DJ MIZUTA

NOON裁判、第五回公判傍聴レポート by DJ MIZUTA


「事実とは何か?」
そんな事を考えさせられる第五回公判でした。

インターネットを見ていると、NOONを指して「所詮違法営業をしていた店が、法律の是非を問うのは無理がある」という論調に出会うことがありますが、現在行われている裁判でNOONは無罪を主張しています。摘発の根拠が妥当であったかどうかの審議が今まさに現在進行形で行われているわけです。
つまり違法営業であったかどうかの裁判が行われている現段階において「所詮違法営業をしていた店」という表現は、非常に滑稽な解釈であり、事実ではありません。

そして、摘発の根拠となった警察官の判断が、非常に曖昧なものであった事が、今日も次々と明らかになりました。

本日の証人は、NOON摘発時の指揮を取った大阪府警本部の警察官など3名。
まず、捜査の発端が、2011年3月の匿名申告「NOONには女子高生の客が出入りしている。アメリカ村では一斉摘発があったのに、なぜキタでは行わないのか?」にあった事が証言されました。2012年3月26日〜27日未明の内偵捜査時に本部の生活安全特別捜査隊で捜査を指揮した警察官は「客の中に女性が3分の1ほどおり、男女が入り乱れて踊っていたので、享楽的な雰囲気を過度に醸し出していると判断した」と。また享楽的な雰囲気を過度に醸し出す要素として「DJが音楽を調整する装置を使っていた」という表現を使っていたのが印象に残りました。
それってDJミキサーの事ですよね。

弁護団からの質問「享楽的と判断する具体的な基準は?」に対しては「ありません」。「あなたの感覚ですか?」という質問に対しては「感覚というより、社会通念に照らして公正中立に判断しました」と回答。つまり、この警察官の頭の中にある「社会通念」がNOON摘発の根拠になったということで。また、享楽的雰囲気を判断する際は、お客さんの男女比は特に重要ではない事。あわせて、お客さんが男性のみ、女性のみであった場合は、「男女間の享楽的な雰囲気」には当たらない事も証言されました。つまりゲイオンリーのイベントであれば、風営法的にはセーフという解釈も成り立ちますね。

摘発時、曽根崎署の風紀捜査係で捜査を指揮した警察官からは、摘発前に文献やインターネットでダンスの定義を調査・検討した、との証言。ただし、詳しい文献名やサイトまでは覚えていないとの事。第四回公判で当日の捜査員から証言された「ダンスの解釈が○△×形式の表で記された資料」については「題名も作者も記されておらず、あまり参考にならない資料だったので詳細は覚えていない」と。府警の公式な内規ではないことも証言されました。またこの資料に記されている「ステップを踏む」がダンスに当たるかどうかという部分で、第四回公判時の証言とずれがある事も確認出来ました。第四回公判で捜査員が「判断基準にしていた」と証言していた資料が、指揮担当者にとっては「参考にならない資料」。この食い違いには驚かされるばかりです。

弁護団からはNOON摘発時に作成された店内の見取り図にスピーカーが記されていない事に対する指摘もありました。ダンスをさせる営業であるか否かが重要なポイントである捜査において、ダンスをさせる設備の最たるものであるスピーカーが記載されていないとは、なんとも杜撰な仕事と言うしかありません。

また、「どういう動きがあればダンスと判断するのか」という質問に対し、この警察官からは「音楽に合わせて、楽しくリズムに乗って踊っていれば享楽的という事になる」という回答も。楽しく踊る事が法規制の基準になるこの法律の滑稽さ、いや、恐ろしさを強く感じる場面でした。

3人目の証人は府警本部保安課の警察官。風営法取り締まりの指導が主任務との事でした。弁護団からは、NOON摘発以前にあったアメリカ村での一斉摘発に関する質問が集中しました。これによると、一斉摘発は「2010年1月にアメリカ村のクラブでのトラブルから、外に連れ出された大学生が亡くなる傷害致死事件があった事と、10月に地元町会から取り締まり強化を求める嘆願書も出された事」がきっかけであったと。また、一斉摘発後に集めた治安改善に関するデータの分母が「アメリカ村交番が扱う事案全体」となっている事や、ほぼ同時期に街中で防犯カメラが設置された事等もあり、弁護側からは、一斉摘発の効果を検証するデータとしての信憑性の低さが指摘されました。

本日証言した3人の警察官からは、NOONで暴行、傷害、薬物、器物損壊の事実があったという証言はありませんでした。そして匿名申告にあった女子高生の出入りも確認出来なかったそうです。

風営法関連の記事やニュースで当たり前のように記述されている「男女間の過度に享楽的な雰囲気を醸し出す」や「善良な風俗を乱す」とはいったいどのようなものなのでしょう?その根拠は?記事やニュースで扱われるこれらの記述は、今日の公判で明らかになった、警察の杜撰な捜査、曖昧な法解釈の上に成り立っているのです。摘発により町の治安は本当に改善されたのでしょうか?それを僕たちは「事実」として納得しなければならないのでしょうか? NOON裁判で提示された証言が日本全国の摘発事例に該当するわけではありませんが、風営法のクラブに関する裁判が他に無い現段階においては、これらが非常に重要な証拠となっていくはずです。NOON裁判はNOONだけの問題ではなくなってきています。

最後に個人的な補足を。僕の一連の傍聴レポートには「by DJ MIZUTA」というタイトルが付いています。僕は法律のプロではありませんから、法的な知識はさほどありませんが、DJとしてクラブに長年携わってきた経験と熱意を反映させながら裁判のレポートを書いていこうと思い、このタイトルを付けました。公判を重ねる毎に傍聴席に訪れるDJやVJの数が増えて来たことは、僕にとって非常に嬉しいことです。彼らが傍聴で感じた事を友人に話す事で、裁判に対する関心は日毎に高く、そして広まっている事を感じています。皆が感じた事を正直に広めていって下さい。
それがこの裁判の熱量として還元されていくはずです。

7f155564727a295384a71093847154b8DJ MIZUTA
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■NOON裁判、今後の日程
10月31日(木)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(NOON従業員)
11月11日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発担当警察官など)
11月13日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発を指揮した警察官 など)以上は終了。
12月4日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(学者3人)
12月16日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…被告人質問(金光さん)
1月9日(木)午後1時10分〜5時(見込み)(論告弁論期日)
3月ごろ 判決言い渡し