NOON裁判、第四回公判傍聴レポート by 若本洋平

NOON裁判、第四回公判傍聴レポート by 若本洋平


今日の第4回公判は、2012年4月4日のNOON摘発について、事前の内偵捜査や、当日の摘発を担当した警察官4名の証人尋問でした。

警察官が摘発当日の店内では「ダンス」が行われていたと判断しているのですが、その判断基準や根拠がいかに曖昧でいい加減かということが浮き彫りになりました。

まず、風営法に言う「ダンス」とは何かということについて。

検察官からは、摘発に当たった警察官に対して、事前にどのようなものが風営法で許可が必要な「ダンス」に当たるのかについて検討したのかという質問がなされました。
これに対して警察官は、事前に大阪府警本部の生活安全課からダンスに関する資料を取り寄せて検討したと答えました。
その資料によれば、左右の足で踏むステップ、両手の振り、首の振り、腰をくねらせるという動きのどれかをすればダンスと認定できるそうです。
また、店内で何人くらいがそのような「ダンス」をしていれば摘発できるのかについては、半数から7割程度が「ダンス」をしている場合に摘発するとのことでした(ただ、その理由は弁護人の反対尋問に対しては、「それくらい踊ってないと事件としてどうかなあ」ということだったと答えていました)。

弁護人からの反対尋問で、別の警察官は、その府警本部から取り寄せた資料には、「ダンスとは」という項目があり、どのようなものが「ダンス」に当たるかの「表」があったと答えました。
その「表」には、DJブースに向かってステップを踏むと○(ダンスに当たる)、腰をくねらせるのは△とあり、他方、リズムに乗って軽い上下運動をするのは×(ダンスに当たらない)と書いてあったそうです。
その表に照らして、「ダンス」に当たるかどうかを判断するとのことでした。

具体的に、どの程度の動きが「ダンス」に当たるかについては、事前に、担当警察官ら何人かで、ステップや手の振りなど、実際に動きを試してみて相談して決めたそうです。
その結果、1メートル程度の幅でステップを踏んでいれば、「ダンス」に当たるとの結論に至ったとか(想像すると少し可笑しいですね)。

ただ、弁護人の反対尋問のなかで、いずれの警察官も、その「ダンス」資料の出典や根拠は答えることができませんでした。
また、具体的に1メートル幅のステップで「ダンス」と判断することや、店内の半数から7割が「ダンス」をすれば摘発するというのも、客観的な法令や警察庁の公式見解に基づくものではなく、警察官らで判断していることが明らかになりました。

次に、実際の内偵時や摘発時の状況について。

これはNOONが摘発された4月4日、警察官らは午後7時半や8時ころには何組かが内偵捜査として店内に入っていながら、午後9時43分の摘発時までは「ダンス」に至っていないとして摘発に至らなかった事情があるので、何をもって「ダンス」に至ったと判断したのかが焦点となりました。

検察官からの質問に対して、警察官らは、当日の店内の様子について、当初は、お客さんらはテーブル席に座っていたりしたが、飲食物を手にしながら一人、二人がダンスをはじめ、つられるようにダンスをしたと答えました。
そして、店内にいたお客のうち20人ほどが、音楽に合わせてステップを踏む、両腕を振る、首を振る、腰をくねらせるという動きをしたので、「ダンス」に至ったと判断し、摘発に踏み切ったそうです。

弁護人の反対尋問として、「ダンス」に至ったと判断したというが、具体的にどのお客の動きが「ダンス」に当たり、どのお客の動きは「ダンス」に当たらないのかなど、具体的に検討したのかとの問いには、そういったことはしていないとのことでした。
また、なぜ20人ほどが「ダンス」をしたら摘発に至ったのか(それ以下の人数ではなぜ摘発に至らないのか)については、客観的根拠によるものではなく、上記の通り「それくらい踊ってないと事件としてどうかなあ」という現場の警察官同士の相談の結果によるものだとのことでした。
さらに、警察官は手の振りも現認して「ダンス」と判断したとのことでしたが、裁判官からは、その警察官はフロア最後方にいて、お客は前方のDJブースを向いていたとのことだったので、手の振りは確認できないのではとの質問もなされていました(これに対してはシルエットで見えたとか答えていました)。

そもそもダンス営業が許可制として規制されるのは、そのような営業が男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成させ社会的によろしくないということが理由のようですが、警察官らは、摘発当時のフロア内の男女の比率も意識していなかったようで、はっきり覚えてないとのことでした。
もちろん、警察官らも、摘発当時にNOONのフロアで、抱き合って踊る男女や密着して踊る男女、手をつないで踊る男女らすらもいなかったと答えていました(当たり前ですけどね)。

このほかに、捜査上の画像や動画データは、裁判が終わるまで消去してはならないとの通達があるのに、警察官らがNOONの内偵捜査時に撮影していた動画データなどを消去してしまったという、ずさんな捜査実態も明らかとなりました。

今回の公判では、「ダンス」の基準や現場での判断が、いかに恣意的でいい加減なものかが、浮き彫りになりました。現場の警察官が主観的に「ダンス」と判断すれば取り締まりが可能であるということだと思います。
そもそも、お客が「リズムに乗って上下運動」をするのはOKだけど、「1メートル幅のステップ」での左右運動をすれば、「ダンス」として規制され、クラブ経営者が逮捕までされてしまう理由が、まったくわかりません。
もっとも、そういった判断を現場の警察官がしなければならないのは、やはり「ダンス」を基準に規制しようとする風営法の規定があるからです。その意味では、現場の警察官も気の毒だと思いました。
公判期日後の報告集会で金光さんが言っておられたように、根本的な解決のためには、風営法のダンス営業規制をなくさなければならないと考えました。

■NOON裁判、今後の日程
10月31日(木)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(NOON従業員)
11月11日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発担当警察官など) 以上は終了。
11月13日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(摘発を指揮した警察官 など)
12月4日(水)午前10時〜午後5時(見込み)…証人尋問(学者3人)
12月16日(月)午前10時〜午後5時(見込み)…被告人質問(金光さん)
1月9日(木)午後1時10分〜5時(見込み)(論告弁論期日)
3月ごろ 判決言い渡し
場所:いずれも大阪地方裁判所704号法廷(変更される場合もあります)

※NOONのスタッフや金光さんに面識が無くても良いと思います。途中退出、途中入場もOK。風営法の事、DJの事、クラブの未来を考えたい人は、是非傍聴席へ!

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若本洋平
https://www.facebook.com/yohey.wakamoto
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